森のなかの標本室

不思議な標本を作るアートユニット「飴色団栗研究室」にまつわるちょっとしたおはなし

採集鞄の中身

今週のお題「カバンの中身」

f:id:CaramelAcorn:20170817220216j:image

我々が採集鞄と呼んでいる木製トランクは、冒険好きにとっては中々魅力的なものが詰まっていると思う。

 

例えば

・標本採集には欠かせない紙の箱

・その場で薬品を使った検査を行ったり、小さいものをとりあえず放り込んでおいたりと、何かと便利な試験管

・博士の開発した培養器

・ピンセットやナイフ、移植ごて等の道具類

・蜂蜜を集めるための壺

 

他にもちょっと特殊な道具だとか、薬品の類だとか、ルーペとか絆創膏とか袋類、紙類……色々なものが詰まっている。

f:id:CaramelAcorn:20170817220250j:image

 

この鞄は個展等で時々展示しているので、中身を触ってみたい方はぜひ遊びにきていただきたい。透明な標本を光にかざしてみたり、研究ノートをめくってみたりと、お手に取ってご覧いただける。

 

ただ、全て愛用の道具なので、壊さないよう丁寧に扱ってほしい。

 

 

展示等のお知らせはHPやSNSで告知されます。

http://ameirodongri.wix.com/caramelacorn

標本箱の種類─紙箱

f:id:CaramelAcorn:20170806184339j:image

もっともデリケートな表情を見せるのが、紙の箱である。

 

背景に紙が貼ってあるにしろないにしろ、木製の縁というのは存外インパクトが強い。

その重厚さが良いところでもあるのだが、例えばタンポポの綿毛のようなか細く小さなものをひとつ入れたところで、何も入っていないような存在感に見えてしまうのは事実である。

 

そんな時に活躍するのが、この紙箱なのである。

 

中身はもちろん、今にも消えてしまいそうな繊細な標本をひとつだけ。

いや、鉱物なんかを入れてみても案外良い。握りしめていたときには見えなかった表面の繊細な造形がはっきりと見えてくる。

 

植物の標本を採集する時には、場合によってこういう紙箱に直接貼り付けてしまったりすることもあるのだが、そういう採ってきたままのような、仰々しくないさりげなさが感じられるのも良い。

 

自分で見つけたとっておきの標本をひとつ入れて、引き出しの隅に大切に仕舞っておきたい。

 

そんな箱である。

標本箱の種類─紙背景

f:id:CaramelAcorn:20170806183249j:image

さて、今日は紙背景の標本箱について解説しよう。

 

たくさん並べるほど良い板背景の箱に対して、白い壁の部屋にぽんと一つ置いても負けない存在感を持つのが、紙張りの標本箱である。

 

箱の中の余白が美しく見えるため、シンプルで上品なレイアウトが可能である。

また飴団栗などの透明系の標本、茎の細い草の標本などと大変相性がよい。細部まで容易に観察できるので、学術標本としてはこのタイプが最も優秀と言えるだろう。

 

明るい部屋では高級感と品の良さが目立つが、反対に暗い部屋では青白く浮かび上がって不気味な存在感を放つ。

 

そんな箱である。

f:id:CaramelAcorn:20170806183356j:image

標本箱の種類─板背景

f:id:CaramelAcorn:20170806182137j:image

飴色団栗研究室の標本箱は、現在大きく分けて3種類ある。

①背景が板の標本箱

②背景に紙が貼られた標本箱

③紙製の標本箱

 

今日はそのうちの一つ、板背景の標本箱について説明しよう。

 

背景が板の標本箱は、何よりも箱の中に大きな余白を作らないことが重要である。何故ならば、木というのはそれだけで存在感のある素材であるからして、あまり木の面を多く見せると標本よりも目立ってしまうのである。

 

つまり、箱の中には中身がぎっしり詰まっているのが良い。できれば箱自体も、隙間なくたくさん並べたい。並べれば並べるほど、何とも博物趣味的な雰囲気を作り出す。

 

部屋が薄暗いほど、壁の色が暗いほどカッコよく見える。

 

3種類の中で最も色が暗いため、色々な種類の箱を並べた時にアクセントの中身も果たす。

 

そういう箱である。

真夏の早朝

f:id:CaramelAcorn:20170814084645j:image

蝉の声もまだ聞こえない朝の時間帯。青っぽい匂いのする爽やかな空気。日差しはキラキラと暖かいのに、夜の間に冷やされた地面はまだひんやりとしている。

 

草むらの中に、露草の生えた妖精の棲家がひとつ。中はまだ寝静まっているようで、何かが動く気配はない。

 

真夏の早朝は、いつもの道をちょっとそれて探検に出かけたくなる独特の雰囲気を持っている。

 

あなたも、早起きした帰省先の朝、何かを見つけるかもしれない。

妙な植物のスケッチ達

f:id:CaramelAcorn:20170802193159j:image

フィールドノートというか、スケッチブックというか、見つけたものや気づいたことをさっとメモするノートである。

文庫サイズのノートに、へんてこな絵やメモがしこたま書き込まれている。

 

写真は、先日紹介した歌鳥である。

まだ実が青い時の様子が書かれている。

「森」ではなぜか電子機器やカメラといった機械の類が使えないことが多い。なので絵に頼るしかないのである。写真が撮れない理由は判明していないが、神の思し召しか、機械都市遺跡から変な電波でも出ているか、大方そんなところだろう。

 

他のページも変なものがたくさんなので、時々紹介していこうと思う。

歌う小鳥の種

f:id:CaramelAcorn:20170729073530j:image

森の中にも、特に風通しの良い場所がいくつかある。そういうところで、風の強い季節に時々聞こえる音がある。

 

一つひとつはか細い笛のような音だが、それと似たような音が微妙に音程や音量を変えながらいくつもいくつも集まって、鳥の群れが一斉にさえずっているように聞こえる。

 

歌鳥の木である。うたどりと読む。

 

歌鳥という名前は、その果実が「歌う小鳥の種」と呼ばれていた事に由来する。実と殻の間に僅かな隙間があり、そこを風が通る時に音が鳴るのだ。

時々、小鳥がその音に返事を返している声を聞くことができる。

 

それほど大きい木ではない。「森」の中ではかなり小さい方で、電線のない都会の街路樹を少し大きくしたくらいだろうか。

 

可愛らしく実に騒々しい木である。