森のなかの標本室

不思議な標本を作るアートユニット「飴色団栗研究室」にまつわるちょっとしたおはなし

この樹の高さを測るために測量を覚えるかどうか、しばし天秤にかける。

どれくらいあるだろうか。

 遥か遠くでチラチラと揺らぐ梢を見上げて研究員は考える。

 

そういえば、東京でスカイツリーを見たときに同じくらいの高さだろうかと思ったことを思い出した。スカイツリーの高さは634m。だがしかし、東京のビルの隙間から見上げる空と、この森の真ん中で見上げる空は、果たして同じだろうか。色々なものの縮尺が違って見えているような気がしてならない。

 

やはり、測量を覚えるべきだろうか。

 

『森』の中心にそびえ立つこの『樹』の根元には、こがねいろの湖が広がっている。

湖の水の全てが蜂蜜でできているのだ。

 

そして信じがたいことに…… 

虫がたかっていない。

 

まあそれは置いておくとして、とろりと金色に輝く湖から雲に届かんばかりの大木が生えているのは、なかなかどうして不思議な光景である。

 

その不思議のかけらである木の葉を一枚拾って標本にするのもまた不思議な作業であると、研究員はぼんやりと思った。

 

 f:id:CaramelAcorn:20170712165759j:image