森のなかの標本室

不思議な標本を作るアートユニット「飴色団栗研究室」にまつわるちょっとしたおはなし

お茶の時間

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研究室では、頻繁にお茶の時間が設けられる。

 

遺跡担当の研究員……長いので「右の研究員」とでも呼ぼうか、右利きだから。
彼はコーヒー。挽きたての豆は至高の香り。できればミルク多めが好ましい。

 

植物担当の同僚「左の研究員」はハーブティー。花か葉っぱの香りがして、尚且つカフェインが入っていないものが良い。眠れなく……はならないが、気持ちが悪くなるのだ。

 

今日は飴色団栗研究室ではなく、その母体である「樫研究所(かしのきけんきゅうしょ)」のお茶会なので、右の研究員の師である「博士」も一緒だ。博士の飲み物は、日によって違う。

 

「博士は何を飲んでるんですか」

コンブチャ

「こんぶ茶ですか。梅入ってるやつ?」

「いや、コンブチャ紅茶キノコ

「は?」

 

博士とその弟子の会話を聞いていた左の研究員が眉をひそめてガタリと椅子を引き、博士から距離を取った。反対に、右の研究員は目を輝かせて博士のカップを覗き込む。

 

「美味しいですか?」

「いや、そうでもない。が、思ったよりは美味い」

「一口貰っても?」

「かまわないよ」

 

左の研究員は「どうりで変な匂いがすると思った」と言いながらルイボスティーのカップを抱え直している。

 

「君も飲むかね?」

「博士と回し飲みはしたくありません」

「今日も辛辣だな君は」

 

そう言う博士は気にした様子もなくカップを傾けて中身をぐるぐると回している。

 

今日も今日とて、なんとも平和である。

そうそう、「紅茶キノコ」をご存じない方は暇な時間に調べてみてほしい。体に良いそうなので、興味がある方は「育てて」みてはいかがだろうか。