森のなかの標本室

不思議な標本を作るアートユニット「飴色団栗研究室」にまつわるちょっとしたおはなし

標本室

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引き出しを開けると、そこにはなんだかわからない変なものがたくさん詰まっていた。

透き通った硬い木の実、小さい鳥の翼に根っこが生えたようなやつ、とげとげのナッツの中に透明な結晶ができているもの。

それらは全部標本箱の中に綺麗に収められていて、ラベルを貼られて大人しく並んでいた。

 

そのなかのひとつを手に取ると、肘掛け椅子に座った博士が穏やかな声で、それはなんなのか、どんなところで生きていたのか解説してくれる。

ずっとここにいたかった。

変わらない日常のことなど、雑多で窮屈な人間社会のことなど忘れて、ずっとここで研究に明け暮れたらどんなにか幸せだろうと思った。

 

だが博士は言うのだ。

何かから逃げて、ここに来るのでは君の思うようにならないだろう。

選んで、来なさい。

選ぶと言うことが何なのかわかったら、またここに来なさい。

 

それがどういうことなのか、まだ分からない。

でも、その言葉は忘れない。