森のなかの標本室

不思議な標本を作るアートユニット「飴色団栗研究室」にまつわるちょっとしたおはなし

歌う小鳥の種

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森の中にも、特に風通しの良い場所がいくつかある。そういうところで、風の強い季節に時々聞こえる音がある。

 

一つひとつはか細い笛のような音だが、それと似たような音が微妙に音程や音量を変えながらいくつもいくつも集まって、鳥の群れが一斉にさえずっているように聞こえる。

 

歌鳥の木である。うたどりと読む。

 

歌鳥という名前は、その果実が「歌う小鳥の種」と呼ばれていた事に由来する。実と殻の間に僅かな隙間があり、そこを風が通る時に音が鳴るのだ。

時々、小鳥がその音に返事を返している声を聞くことができる。

 

それほど大きい木ではない。「森」の中ではかなり小さい方で、電線のない都会の街路樹を少し大きくしたくらいだろうか。

 

可愛らしく実に騒々しい木である。