森のなかの標本室

不思議な標本を作るアートユニット「飴色団栗研究室」にまつわるちょっとしたおはなし

雨の標本と、箱の話

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「雨」という名の植物の枝を標本にしたものである。この木には半透明の果実が大量に実るため、朝日を浴びると雨が降っているように樹全体がキラキラと光る。

 

雨を保存するのには、額縁のような新作の箱が使われた。この箱は、実のところ別の用途を目的とした試作品だったのだが、そちらよりもこの雨と相性が良かったために、そのまま使われている。写真では分かりにくいが、内枠は金色をしている。

 

標本箱の背景にはラワンベニヤが使われている。ベニヤ板というといかにも「ボロい」ように聞こえるかもしれないが、世の中の広くて薄い板というのは、ラワンベニヤとかシナベニヤとか、種類はあれど大抵「ベニヤ板」なのである。触るとトゲが刺さるだけがベニヤではないのだ。

 

とはいっても、他の無垢材に比べれば表面が美しいと言えないのもまた事実である。最近では背景に紙を貼ったり、突板(つきいた)といって紙のように薄く美しい木目の板を貼り付ける実験をしたりと、ベニヤが露出する形態は避けていた。

 

しかし、この「雨の箱」で新たな発見があった。ベニヤ板も黒に近い焦げ茶に染めれば、木目の色が整って十分標本の背景として見られる美しさになるのである。

 

そういう訳で、新しい雰囲気の標本箱が完成した。因みにこの箱の最初の用途は「アートブック」の箱であったので、そちらもまた改めて紹介しようと思う。