森のなかの標本室

不思議な標本を作るアートユニット「飴色団栗研究室」にまつわるちょっとしたおはなし

標本室の朝

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曇りの日の朝日というのは、独特の色をしている。どんよりとした雲の色と清々しい朝の光の色が混ざり合って、憂鬱なようなそうでもないような、散歩をするよりは読書をしたい、そんな色になる。

 

片付け上手が一人もいないため、標本室も研究室もいつも標本がそこらに散乱している。とても人を呼べない有様である。

適当にその辺りを押し分けて、クッションを並べ、本を開く。

 

部屋に響くのは本のページを捲る音だけ。

植物にはモーツァルトを聞かせると良いなんて言うが、標本には本のページを捲る音を聞かせるのが良い。紙に鉛筆で文字を書く音でも良い。ただボールペンでなく、鉛筆でなければならない。できれば鉛筆削りでなくナイフで削ったものが望ましい。

 

そうすることで、標本はよりひそやかに、より詩的に育つのである。