森のなかの標本室

不思議な標本を作るアートユニット「飴色団栗研究室」にまつわるちょっとしたおはなし

試験管標本の作り方

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鉛筆の先を尖らせて、細く切った紙に学名やら採集日やらを書きつける。手首の角度がどうにも不自然なのは左利きの宿命である。

 

鉛筆の芯はやたら長く出ている。円錐型に削られた木の部分から芯だけが1センチ近く伸び、その芯の先端だけが小さな鉛筆のようにまた円錐型に尖らせてある。これは研究員が子供時代、美術の学校でデッサンを習っていた時の名残である。

 

紙に必要事項を書き終えた研究員は、そこに慎重に標本を貼り付ける。標本の固定の仕方は様々あるが、今回は木工用の接着剤を使う。「木」工用というだけあって、乾燥した植物とは中々に相性が良いのである。

 

接着剤が硬化するのを待った後、標本が貼り付けられた台紙をピンセットで試験管の中に滑り込ませる。紙とガラスが擦れてシュッと音を立てる。用意しておいたコルク栓を押し込めば完成だ。

 

試験管とはその名の通り試験するための管であって、こういった標本を入れるようなものではないのだが、それを「美しいから」の一言で躊躇いなく入れてしまうのがこの研究室の特徴である。

 

科学者としても芸術家としても不完全だが、そのバランスが面白いのだと言えなくもない、かもしれない。