森のなかの標本室

不思議な標本を作るアートユニット「飴色団栗研究室」にまつわるちょっとしたおはなし。毎週金曜日夜9時ごろ更新。

後ろ向きの光

物事を前向きに考えるだけで、世界が輝いて見える。素敵な発見がある。確かにそうだ。

 

では、我々はいつも前向きでいなければならないのか?気持ちを明るくする努力をし続けねばならないのか?私はそうは思わない。

 

涙、という名前の植物がある。これには不思議な特性があって、なぜか悲しい時にしか出会うことが出来ない。

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これに関して、恐らく「涙」は何もしていないと私は考えている。どこにも移動していないし、透明になって隠れている訳でもない。

 

本当に辛い時、悲しい時、頑張っても前向きになれない時。世界は色を失って、いつもの道が全く違う風景に見えたりする。顔を上げられなくて、遠い空ではなく、近くの地面を眺めて歩く。

 

そういう、悲しい時に見えている景色の中に涙は生えるのだろう。「悲しい」という精神状態には──悲しい時には余計に──悪い面しか無いように思えるが、いつもと違うものの見方をしているということは、いつもは見えなかったものが見えているということでもあるのだ。

 

喜びの中には確かに眩しい光が溢れているが、悲しみの中には悲しみの中なりの美しい光が転がっているし、闇の中でしか見えない星だってあるのだ。