森のなかの標本室

不思議な標本を作るアートユニット「飴色団栗研究室」にまつわるちょっとしたおはなし。毎週金曜日夜9時ごろ更新。

活字喰の生態

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最近新たに発見された植物で、活字喰(カツジクイ)という。活字に寄生し、厚みのほとんどない細い根で文字を吸い取って消してしまう。発見次第対処をしないと、本であれば一冊まるごと食い尽くされる羽目になる。

 

とはいっても育つスピードは苔と同じ程度で人体に害もなく、大事な本さえ気をつけていれば至って無害で育てやすく、おとなしい植物である。

 

文字から文字へ、紙の中を通ってページからページへ、ランナーで数を増やしてゆく。インクの染みのような極小の種子を茶立虫や紙魚が散布することで、本棚の隣の本へもどんどん侵食する。故に古書に多く見られるが、活字喰自体は新品の書籍でも問題なく生育する。ページ捲った指に小さな黒い粒が付着していたら、どこにも触らずに手を洗おう。どんなに物語の続きが気になっても、決して次のページに触れてはならない。

 

 

──以上で、現在判明している活字喰の生態は半分ほどです。残りは図鑑を作るときまでのお楽しみに取っておきますね。