森のなかの標本室

不思議な標本を作るアートユニット「飴色団栗研究室」にまつわるちょっとしたおはなし

氷の化石

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「氷の化石」というラベルが貼られた標本箱。

これは太古の昔に溶け方を忘れてしまった氷の標本である。

触れると確かにひんやりとしているが、それもごく僅か。

湯の中に入れても溶けることはない。

 

はじめて水晶を見た人類が「これは氷の化石ではないか」と考えたという話をご存知だろうか。それも無理はないことで、氷の化石と水晶は大変よく似ていて、見分けるのは至難の技である。水晶とは一般的に石英、成分にして二酸化ケイ素の結晶のことを指すが、そもそも水晶という字はそのまま読んで水の結晶を表しており、水が結晶化するのはもちろん氷点下であるので、この氷の化石こそが本物の水晶と言って差し支えないかもしれない。

 

特別冷えた早朝、窓辺にできた氷柱(つらら)を見て、持ち帰って保管したい、溶けなければいいのになどと思った経験がある方は、ぜひ氷の化石をひとつ、手に入れることをお勧めする。

 

なに、見極めさえできれば入手は簡単である。石を打っているお店へ行って、水晶のコーナーをひとつずつ舐めるように吟味し、うっかり紛れ込んだ氷の化石を見つければ良いだけの話である。