森のなかの標本室

不思議な標本を作るアートユニット「飴色団栗研究室」にまつわるちょっとしたおはなし。毎週金曜日夜9時ごろ更新。

番外編:ご質問への回答 ─美大に通う利点とは?

質問箱(‪ https://peing.net/caramel_acorn )へいただいた質問の回答が長くなりましたので、こちらにまとめます。

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A. 私は高校の芸術科を卒業し、大学では金属工芸を専攻していました。右の研究員は大学の同期で、漆芸専攻でした。

 

専門教育を受ける利点は私なりの回答ですが「目」と「手」でしょうか。

 

何よりもまず、デッサンをはじめとする基礎訓練で目が鍛えられます。

「見る目が養われる」感覚を言葉で説明するのは難しいのですが、たとえば目の前に美しい夕日があるとして、普通の目でひとつ魅力を見つけられるとしたら、鍛え上げられた目では十も百も魅力を見つけられる、そんな感じです。網膜に映る映像は変わりませんが、そこから様々な要素を分析し、発見できるようになります。

この能力はものの魅力を細部まで分解して見つけられるだけでなく、自分の作品の微小な粗も発見できます。つまり「目の付け所」の幅が広がるだけでなく、隙のない完成度の高い作品を作るのにも一役買うのです。

 

手に関しては、単純に技術と言い換えてくださって結構です。

専門的な訓練を受けることによって手が自在に動くようになります。

目を鍛えて造形の美しいバランスを見極められるようになっても、その通りに手が動かないと満足いくものは出来上がりません。

 

他にも色々良いところはあると思いますが、しかしながら、専門的に勉強しなければ作家活動ができないかといえば、全くそんなことはないと思います。

先生の指導を受けることによって、尊敬する師であるからこそ振り回され、自由な発想で作れなくなってしまうという場合もあります。人それぞれです。

 

私が芸術系の学校に進学したのは将来作家活動をするためのノウハウを得るためではなく、単純に興味があったから勉強したかったというだけなので、代わりに別の勉強をしていたら、それはそれなりに創作活動の役に立っていたのではないかと思います。

 

専門的な学習以外に大事にした方がいいことですが──そうですね、これは私個人の話であって特にお勧めというわけではないのですが「美術バカにならないこと」ですね。

 

私は大学の専攻は工芸でしたが絵も描きますし、趣味はピアノで、大学生になってからバイオリン教室に通ったりもしました。作曲もしますし、読書も好きです。もちろん植物学にも興味がありますし、おもむろに宇宙物理学の専門書を読み始めたりもします。

 

簡単にいうと気が多いのですが、そういうところが巡り巡って全て役に立っているからこそ、いまの活動があるのだと思います。

 

私が思うに、美術家は美術だけではやっていけません。常に視野を広く、知識を深く、世界を見ることで本当の深い感動を生むのだと思います。

 

もし創作活動に直結しないご趣味、お好きなものがありましたら、ぜひそれは邪魔だと捨てるのではなく、大切に取っておいてほしいなと思います。

 

 

 

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