森のなかの標本室

不思議な標本を作るアートユニット「飴色団栗研究室」にまつわるちょっとしたおはなし

竜の雛

どこからともなく、かさこそと小さな音が聞こえる。

これが耳慣れない音ならば虫かネズミでもいるのかと警戒するところだが、研究室ではよく聞く類の音である。

 

猫か、竜か、どちらかだ。

 

今回は音の質からして竜の雛のようである。

作業机の引き出しの陰を覗くと、案の定竜がごそごそと紙屑を集めて巣を作っている。

いや、紙屑ではない。標本に添付しようと印刷しておいたラベル用紙である。正確に言うと元はラベル用紙だったが、たった今紙屑になった。

 

紙の端を器用に咥えて引き裂いたり、足で踏みならして柔らかくしたりしたものを鳥の巣のように丸め、今まさに中に腰を落ち着けようとしている。

別に我々が竜に寝床を用意してやっていない訳ではなく、研究室のそこかしこにこのような巣があるのだ。

 

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