森のなかの標本室

不思議な標本を作るアートユニット「飴色団栗研究室」にまつわるちょっとしたおはなし

妖精の棲家

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淡い青緑色の浅瀬が続く海岸から少し歩いたところにある森の入り口には、たまに貝殻が転がっている。白い砂浜から草の生い茂った土へと変わり、満潮時の波も届かない場所に落ちている貝殻は、いい具合に木の根のくぼみに嵌められていたり、茂みの中に押し込まれていたりする。

 

貝殻は妖精にとって優良物件なのである。

 

妖精といっても、体調はおよそ3ミリと小さく、知能もさほど高くなければ魔法も使わない。彼らは土を練って一見してレンガの建物のような巣を作る。目の細かい土を練ったもの、要するに粘土なので当然水に濡れると溶ける。故に雨の当たらない木の陰などに棲家を作り、それでも壊れた場合はその都度作り直しながら生活している。

 

そんな妖精の棲家が空き家になったものを採集したものが、この標本なのである。