森のなかの標本室

不思議な標本を作るアートユニット「飴色団栗研究室」にまつわるちょっとしたおはなし

「へんなもの」

世の中には、都合よくへんなものが集まっている場所というのが時々ある。

天敵がいない小さな島の生き物が野生とは思えないくらいのんびりしていたり、長く閉ざされていた洞窟に巨大な結晶が育っていたり、そういうものの周りにあるものは、やっぱり少し変わっていたりする。

 

「森」もそのひとつである。

我々は敬意を込めてその場所をカギカッコをつけて「森」と呼ぶが、「世界の奥の森」とか「近くて遠い森」とか「七つの星の森」とか呼ぶ人もいる。

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へんなものが育つのにちょうど良い環境をしているために数多く集まっているが、そこは決して異世界ではない。ただ、都合よくへんなものが集まっているだけなのだ。

では、「へんなもの」とはなんだろうか。いや、「この世にへんなものなんてない」という話がしたいわけではない。へんなものは、人によって違うのである。

 

たとえば「タビビトノキ」という植物がある。ご存知ない方は検索してみるといい。木も、花も、実も、私にしてみれば相当変である。ファンタジー映画の背景に生えているやつにしか見えない。だが、その地で生まれ育った人にとっては見慣れたもので、その人にとってはきっと、日本の桜の方が幻想的で不思議な植物なのだ。妖精の作った木だと思うかもしれない。

 

そうやって視点を変えて、いろいろなものを見て欲しい。

「私がこれを今初めて見たとしたら、美しいと思うだろうか」道端の花をそう思って観察して欲しい。

 

我々は自らが特別なものと思ったものを研究し、標本にしている。「へんなもの」が特別面白いのは間違いない。しかしそれと同時に、自分にとって「へんでない」「当たり前」のものも、見方を変えればまた特別になりうるのだと、気づいて欲しいのだ。